Visual Journal



酷暑が続いた夏、
スウェーデンで作られた車が家族になった。
17年前に生産されたもの。
色は赤。
フロントガラスの上部には着色された
七色の穏やかなラインが入っている。
大きくて重いドアを開けると灼熱のアスファルトの上にフロントガラスの色々が映る。サウナよりも熱い車内に入る前にこのマークを見つけると、
車の声が聞こえたような気になる。

熱いよ、、、
クーラーも良いけど、走って風を入れて。
今日も暑さに注意だね。


17年前に人の手で作られた、
この赤い鉄の塊は何をくぐり抜けてきたのだろう。
車に歴史を語ることは出来ないから、
これから一緒に歴史を作ることしか出来ない。

新しいものもいいが、何かを見てきた、見続けてきた古いものの
形や佇まいを感じ取りながら、
これからを作っていく。


人も同じく。
一緒に歴史を作りたいと思える人になれるか、
それこそが、人生の醍醐味。











冬の日本海

波また波の白雲の。


春がやってきた極寒の海の景色は、
少しずつだけれども、色に現れている。
この美しい海の営みは止まることなく語りかけてくる。

いつまでも、佇んで、いつまでも海の声に耳を傾けていたいが、寒さはもちろん強いもので、
そんなに長く居られない。

写真で反芻する海時間には、
当然のごとく音がない。
そんな時は
目を瞑ることなく、波の音を思い出してみる。


もしくは、貝殻を手に入れようか。
フランスの詩人の詩を思い出しながら。



            ‘’       私の耳は貝の殻

             海の響ひびきをなつかしむ  ‘’


SUI —   KANAZAWA,KYOTO,TOKYO   JAPAN  2023